ステンレスボルトSUS304とは?特徴・耐食性・SUS316との違いを徹底解説

食品機械や医療機器、屋外設備などで使用するボルトを選定する際、
よく候補に挙がるのが
SUS304のステンレスボルトです。

SUS304は耐食性に優れ、さまざまな設備や機械に使用されている
代表的なステンレス鋼です。

しかし、実際にボルトを選定する場面では、

  • SUS304のステンレスボルトはどの程度錆びにくい?
  • SUS304とSUS316は何が違う?
  • 食品機械にはSUS304で問題ない?
  • 海水や塩害環境でもSUS304は使える?
  • SUS304とSUS316のどちらを選べばいい?

といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

材質選定のPOINT特に食品・医療・海洋関連では、単純に
「ステンレスだから錆びにくい」
という理由だけで材質を決めるのではなく、
使用環境・洗浄方法・薬品・塩分・温度などを考慮した材質選定が重要です。

本記事では、SUS304ステンレスボルトの特徴や耐食性、
SUS316との違い、用途別の選び方まで詳しく解説します。

SUS304とは?

SUS304は、ステンレス鋼の中でも非常に広く使用されている
代表的なオーステナイト系ステンレス鋼です。

クロム(Cr)とニッケル(Ni)を主要な合金元素として含み、
鉄の表面に形成される非常に薄い
不動態皮膜によって優れた耐食性を発揮します。

ステンレスボルトだけでなく、

  • 食品機械
  • 厨房設備
  • 配管
  • タンク
  • 建築金物
  • 医療関連設備
  • 産業機械
  • 自動車部品
  • 家庭用品

など、非常に幅広い分野で使用されています。

ステンレスボルトの材質選定で迷ったとき、
まず候補に挙がりやすいのがSUS304です。

SUS304ステンレスボルトの特徴

SUS304のステンレスボルトには、大きく4つの特徴があります。

1
耐食性に優れている

SUS304最大の特徴が耐食性です。

一般的な鉄製ボルトと比較して錆びにくく、
水分や湿気のある場所でも使用しやすい材質です。

そのため、屋内設備だけでなく、
水を使用する食品設備や厨房設備、屋外設備などにも広く採用されています。

2
幅広い用途で使用できる

SUS304は耐食性・加工性・入手性などのバランスが良く、
さまざまな用途に使用できます。

特殊な腐食環境を除けば、ステンレスボルトを検討するときの
標準的な選択肢の一つと考えることができます。

3
衛生管理が求められる設備にも使いやすい

食品工場や厨房設備などでは、水洗いや洗浄を頻繁に行います。

鉄製ボルトでは錆の発生が問題になる環境でも、
適切な条件下でSUS304を使用することで耐食性を確保しやすくなります。

このため、食品製造設備や衛生管理が求められる機械でも多く採用されています。

食品用途でも一律にSUS304でよいとは限りません。
使用する洗浄剤や塩分濃度、温度などによっては、
より耐食性の高い材質を検討する必要があります。
4
比較的入手しやすい

SUS304はステンレス鋼の代表的な材質であるため、
ボルト・ナット・座金などさまざまな締結部品が流通しています。

特殊材と比較すると規格品の選択肢が多く、
調達しやすい点も大きなメリットです。

SUS304は「絶対に錆びない」わけではない

ステンレス=絶対に錆びない
という意味ではありません。

SUS304も使用環境によっては腐食する可能性があります。

特に注意したいのが、

  • 海水
  • 潮風
  • 塩分
  • 塩化物
  • 酸性・アルカリ性薬品
  • 高温多湿
  • 汚れが長期間付着する環境

などです。

また、ボルトの締結部や座金との接触部分など、
液体が滞留しやすい場所では
すきま腐食にも注意が必要です。

重要「ステンレスだから大丈夫」と判断するのではなく、
どのような環境で使用するボルトなのか
を確認することが重要です。

SUS304とSUS316の違いとは?

SUS304と並んで、ステンレスボルトでよく使用される材質が
SUS316です。

両者の大きな違いの一つが、
モリブデン(Mo)の添加です。

SUS316はSUS304をベースとしてモリブデンを添加することで、
特に塩化物環境に対する
耐食性・耐孔食性を高めています。

SUS304

一般的な環境で、
コスト・耐食性・入手性のバランスを重視する場合に有力。

SUS316

塩分・海水・塩化物など、
より厳しい腐食環境で検討される材質。

一般環境ならSUS304。
より厳しい腐食環境ならSUS316。
これが材質選定の一つの目安です。

SUS304とSUS316を比較

選定の考え方SUS316のほうが耐食性に優れていますが、
だからといってすべての設備をSUS316にすればよいわけではありません。

必要以上に高い仕様を選定すると、
部品コストや調達性に影響する場合があります。

使用環境に必要な耐食性を見極め、
適切な材質を選ぶことが重要です。

SUS316Lとは?SUS316との違い

SUS316について調べていると、
SUS316Lという材質を目にすることがあります。

「L」はLow Carbon
つまり低炭素を意味します。

SUS316LはSUS316より炭素量を低く抑えた材料で、
溶接部などで問題となる粒界腐食への配慮が必要な用途などで使用されます。

例えば、

  • 化学設備
  • 配管
  • タンク
  • 医療関連設備
  • 高い耐食性が求められる設備

などで検討されることがあります。

POINTボルト単体だけでなく、
設備全体の材質・溶接・腐食環境
を考えて選定することが重要です。

SUS304・SUS316・SUS316Lの選び方

材質選定では、単純に価格や耐食性だけを見るのではなく、
使用環境から判断します。

SUS304が向いているケース

一般的な屋内環境や、
水・湿気への耐食性が必要な設備などで広く使用されています。

  • 一般産業機械
  • 食品製造設備
  • 厨房設備
  • 建築設備
  • 水回り設備
  • 屋内設備

耐食性とコスト、入手性のバランス
を重視する場合に有力な選択肢となります。

SUS316が向いているケース

SUS304では腐食リスクが高い環境で検討されます。

  • 海岸付近の設備
  • 海洋関連設備
  • 塩分を扱う食品設備
  • 化学設備
  • 薬品を使用する設備
  • 塩化物環境

特に海水や潮風など、
塩化物による腐食が問題になる場所では
SUS304との差が重要になります。

SUS316Lが向いているケース

SUS316Lは、高い耐食性に加えて
低炭素であることが求められる用途で使用されます。

設備設計上SUS316Lが指定されている場合などは、
図面や仕様書に基づいて適切な締結部品を選定する必要があります。

【業界別】ステンレスボルトの材質選定

食品工場・食品機械

食品設備では衛生管理のため、
設備を頻繁に洗浄するケースがあります。

そのためステンレスボルトが多く使用されています。

一般的な環境ではSUS304が広く採用されていますが、

  • 塩分濃度が高い食品
  • 強い洗浄剤を使用する
  • 高温洗浄を行う
  • 薬品に頻繁に触れる

といった環境では、SUS316などの検討が必要になる場合があります。

食品設備のPOINT「食品設備だからSUS304」と一律に判断するのではなく、
実際の洗浄条件まで確認することがポイントです。

医療・衛生関連設備

医療・衛生分野では、耐食性だけでなく
洗浄性や設備ごとの衛生要求も重要になります。

使用する薬剤や滅菌条件によって求められる材質が変わるため、
設備仕様に合わせてSUS304・SUS316・SUS316Lなどを選定します。

特に仕様書や図面で材質が指定されている場合は、
要求仕様との整合確認が欠かせません。

海洋・沿岸設備

SUS304を使用する際に特に注意したいのが
海洋・沿岸環境です。

海水や潮風には塩化物が含まれているため、
SUS304でも腐食する可能性があります。

  • 船舶関連
  • 港湾設備
  • 海岸沿いの工場
  • 屋外設備
  • 水産関連設備

などでは、SUS316を含めた材質比較が重要になります。

ステンレスボルト選定で注意したい「もらい錆」

ステンレスそのものが腐食しているのではなく、
鉄粉などが表面に付着して錆びる
「もらい錆」にも注意が必要です。

例えば、

  • 鉄製工具との接触
  • 鉄粉が飛散する加工現場
  • 鉄製部品との保管
  • 表面への異物付着

などによって発生することがあります。

衛生設備では特に注意食品設備や衛生設備では、
材質だけでなく
施工・保管・清掃方法
にも配慮することが重要です。

ステンレスボルトは強度にも注意

ステンレスボルトを選定する際は、
耐食性だけを確認すればよいわけではありません。

ボルトには、

  • 引張強さ
  • 耐力
  • 締付けトルク
  • 使用温度
  • 繰り返し荷重

などの条件もあります。


「鉄製高強度ボルトを、錆びにくくするためSUS304へ変更する」
このような場合は特に注意が必要です。
材質を変更すると機械的性質も変わるため、
同じサイズだからそのまま置き換えられるとは限りません。

設計条件や必要強度を確認したうえで選定してください。

ステンレスボルトで起こる「かじり」とは?

SUS304やSUS316などのオーステナイト系ステンレス製ねじでは、
締付け時に
かじり(焼付き)
が発生することがあります。

ボルトとナットの接触面で摩擦が大きくなり、
ねじ山同士が固着してしまう現象です。

特に、

  • 高速で締め付ける
  • 過大な締付けトルクをかける
  • 潤滑が不十分
  • 同種のステンレス同士を締結する

といった条件では注意が必要です。

ステンレスボルトを採用する場合は、
耐食性だけでなく
施工時の締結条件まで考える
ことが重要です。

SUS304ステンレスボルトを選ぶときのチェックリスト

ステンレスボルトを選定する際は、
次の項目を確認すると材質選定がスムーズになります。

この情報を整理しておけば、
ボルトメーカーやねじ商社への問い合わせもスムーズになります。

SUS304とSUS316、結局どちらを選べばいい?

判断の基本は、
使用環境に対して必要十分な耐食性を持っているか
です。

SUS304を検討

一般的な環境で、
コスト・入手性・耐食性のバランスを求める場合。

SUS316を検討

海水・潮風・高い塩分濃度・腐食性薬品など、
より厳しい腐食環境の場合。

重要なのは、


「SUS316のほうが高性能だから選ぶ」のではなく、
「その環境にSUS316が必要だから選ぶ」

という考え方です。

これがコストと性能を両立させる材質選定につながります。

規格品で見つからない場合は特注ステンレスボルトも選択肢

必要なボルトが必ず規格品として存在するとは限りません。

例えば、

  • 特殊な長さ
  • 特殊ピッチ
  • 特殊な頭部形状
  • SUS316など材質指定
  • 図面指定品
  • 追加工が必要
  • 少量だけ必要

といった場合、特注製作を検討する方法があります。

特に設備メンテナンスでは、

  • 既設設備と同じ寸法が見つからない
  • 海外製設備で規格が分からない
  • 古い設備で純正部品が廃番になっている

といったケースもあります。

POINT規格品だけを探し続けるより、
図面や現物をもとに製作可能か相談したほうが早い
ケースもあります。

まとめ|SUS304は優れた汎用材。重要なのは使用環境に合わせた選定

SUS304は、耐食性・加工性・入手性などのバランスに優れた
代表的なステンレス鋼です。

ステンレスボルトとしても、
食品設備・産業機械・建築設備・水回りなど
幅広い用途で使用されています。

一方で、SUS304は
絶対に錆びない材料ではありません。

特に、

  • 海水
  • 潮風
  • 塩化物
  • 薬品
  • 高温
  • 特殊な洗浄環境

では、SUS316やSUS316Lなどの材質を検討する必要があります。


ステンレスボルトを選ぶ際は、価格だけでなく、


耐食性・使用環境・強度・衛生性・調達性

まで含めて総合的に判断することが重要です。

SUS304・SUS316ステンレスボルトの選定は隅田鋲螺製作所へ

このようなお悩みはありませんか?

  • SUS304で問題ないのか分からない
  • SUS316に変更したほうがいい?
  • 食品機械で使用するボルトを探している
  • 海沿いで使用できるステンレスボルトが欲しい
  • 必要なサイズの在庫があるか確認したい
  • 規格品では見つからないので特注製作したい

このような場合は、隅田鋲螺製作所へご相談ください。

用途・使用環境・サイズ・数量などを確認しながら、
適切なステンレスボルトの選定・調達をご提案いたします。

SUS304・SUS316などの材質選定から、
規格品の在庫確認、特殊寸法・小ロット・特注品まで、
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